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マサは昭和三十年代初頭の呉を振り返っている。マサが幼い頃広島県呉市の街では、
「若い人はいいなあ」 と言う声があちこちで聞かれた。 中年の男女が異口同音に若い人を見てこう言ったのだった。 男性は、 「ワシらは戦争に明け暮れた青春だった」 と言い、 女性も、 「欲しがりません勝つまではで若い頃を過ごした。今の若い人はいい」 と若者を羨ましがったのである。 だれに邪魔される事なく、だれに遠慮することなく恋をささやく時代になったからである。 「呉の街にそこらここらにアベックが歩いているのだ」 人々は、 「世の中変わった」 と言った。 だが、昭和三十三年の声を聞くまでこの日本の国は明るい兆しは見えなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年02月01日 02時20分16秒
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