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袴田巖さんの再審を求める会のブログ

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2013/09/14
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カテゴリ:三者協議
 昨日午後1時30分から静岡地裁で弁護団・検察・裁判所による24回目の三者協議が行われ、終了後静岡県弁護士会で会見を開いた弁護団によると、7月26日に検察から新たに開示された供述調書や捜査報告書など130点の証拠に関連して9月5日に弁護団が提出していた証拠開示命令申立書について、裁判所(村山浩昭裁判長)は「5点の衣類」の隠匿状況に関する捜査報告書などの証拠に関して、検察に対し口頭で証拠開示勧告を出しました。

 また、今年12月2日(月)を弁護団・検察双方の最終意見書の提出期限とし、12月16日(金)午後1時15分から、弁護団と再審請求人の袴田秀子さんの意見陳述を非公開の法廷で行うことを決めました。袴田巖さん本人への意見聴取については、どのような方法で行うのか、裁判所でさらに検討するとして結論を持ち越しました。

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三者協議終了後に会見に臨む弁護団と秀子さん


・裁判所が3度目の証拠開示勧告
 弁護団が8月下旬に行った合宿会議などで上記130点の証拠を分析した結果、未開示の関連証拠が存在することが明らかになり、上記証拠開示命令申立書で次の3種類の証拠の開示を求めました。

1.事件発生前後の袴田さんの供述を記録した捜査報告書など一切の証拠
2.消防団員A氏の供述を録取した捜査報告書・供述調書など一切の証拠
3.(1)事件直後から昭和41年7月20日に1号タンクに味噌が仕込まれるまでの、同タンクの状況(洗浄の有無等)及び同タンク内の味噌の状況について記載された捜査報告書、関係者供述調書など一切の証拠、(2)味噌仕込み作業に関する関係者の供述を記載した捜査報告書・供述調書など一切の証拠

 このうち、裁判所が勧告を出したのは3に関してで、1と2については、袴田さんの供述の裏付け証拠(自白の信用性を弾劾する証拠)であることから、裁判所は確定判決の証拠構造との関連性や審理の進行状況などとの関係でこれらの証拠を開示勧告の対象から外しました。要するに裁判所は、袴田さんを有罪とする決め手となった証拠は、自白ではなく「5点の衣類」だと認識しているわけです。

 なお、弁護団の検討の結果、今回開示された証拠の中には、袴田さんの供述どおり、事件発生当時袴田さんは従業員寮の自室で寝ていた可能性が高いことを示す捜査報告書があることがわかりました。この捜査報告書には、火災発生後すぐに消火活動に従事した従業員(袴田さんと同じ寮の隣室に寝ていた人)が、袴田さんもその従業員と同じころに起きてすぐ後ろから付いてきていた旨供述していることが記載されていました。

 これによって袴田さんのアリバイが直接証明されるものではありませんが、袴田さんに有利な証拠であることは明らかで、検察は「証拠隠し」と批判されても仕方ないでしょう。このような袴田さんに有利な証拠を検察はまだ多数隠し続けていることは明らかです。裁判所の勧告を待つまでもなく、任意に全ての証拠を開示することこそ「公益の代表者」としての使命ではないでしょうか。

・年度内にも再審可否の判断が出る見通し
 12月2日に最終意見書の提出期限が決まり、12月16日の上記意見陳述をもって事実上結審する見通しで、今年度中に裁判所が第2次再審請求について判断を出す可能性が高まりました。前回の三者協議で裁判所は最終意見書の提出を10月末にならないか弁護団に打診しましたが、弁護団は「それは困難」と回答し、この日の協議で新たに証拠開示勧告が出されたこともあり、提出期限を前倒しすることはさらに難しくなったため、結局裁判所は12月2日に指定しました。

 決定を出す時期について弁護団に問われた裁判所は、「一応考えている」としながらも明言は避けました。しかし、これまでの協議内容からすると、今年度中に出すつもりでいることはほぼ間違いないものと考えられます。いよいよ約半年後に再審を開始するか否かの判断が出されることになります。

・袴田さん本人への意見聴取はさらに検討
 前回の三者協議で弁護団が裁判所に求めた、刑事訴訟規則286条に基づく、袴田巖さん本人への意見聴取について、裁判所は今回の三者協議までに検討するとしていましたが、結局その方法について裁判所から具体的な提案はありませんでした。村山裁判長は、袴田さんの現状を聞く限り、実効性のある意見聴取ができるのか疑問が残ることや、拘置所との交渉・調整に相当の労力を要することなどを理由に、さらに検討する旨弁護団に伝えています。

 ところで、刑事訴訟規則286条にはこう規定されています。
(意見の聴取)
 再審の請求について決定をする場合には、請求をした者及びその相手方の意見を聴かなければならない。有罪の言渡を受けた者の法定代理人又は保佐人が請求をした場合には、有罪の言渡を受けた者の意見をも聴かなければならない。

 
 袴田事件第2次再審請求の請求人はご存じのとおり袴田秀子さんです。有罪の言渡しを受けた本人である袴田巖さんが精神上の障害によって自分で再審請求をすることができないために、保佐人である秀子さんが袴田さんに変わって請求をしたのです。そういう場合には有罪の言渡しを受けた本人にも意見を聴かなければ再審請求について決定を出してはいけないというのがこの規定のです。

 さて、村山裁判長は上記のとおり、袴田さんへの意見聴取の「実効性」、すなわち、袴田さんが裁判所の質問の意味を理解し合理的な意見を述べることができるのか否かを問題にしたようですが、これは条文解釈を誤っているのではないでしょうか。なぜなら、同条には、保佐人が再審請求した場合だけでなく、法定代理人が再審請求した場合にも、本人への意見聴取を義務付けているからです。

 法定代理人には未成年者の保護者だけでなく成年後見人も含まれます。被後見人は被保佐人よりも精神上の障害がより深刻で、判断能力を欠く常況にある人に適用されます。そういう判断能力の欠如した被後見人(例えば重い認知症患者など)に、後見人がした再審請求について意見を求めたところで、その求意見の趣旨を理解して合理的な意見が返ってくる可能性は低いと考えるのが普通でしょう。それでも同条は被後見人の意見を聴かなければならないと規定しているわけです。つまり同条で有罪の言渡しを受けた本人への意見聴取を義務付けた趣旨は、とにかく本来の当事者である本人の意見を聴けということです。

 同条がそこまでして本人の意見を聴けと規定している以上、その方法こそ本人の意見を確実に聴くための実効性が求められるはずです。これまでの裁判所の運用では、再審請求人に単に書面を送り、指定した期日までに書面で意見を述べさせる方法が取られていました。再審請求人に精神上の障害がなく、書面でのやり取りで意見聴取が可能であればこの方法でも問題はないでしょう。

 しかし袴田さんの場合は違います。裁判関係の書面には全く目を通さないと言われていますし、かなり以前から袴田さんは手紙を書くことをやめています。要するに書面のやり取りでは袴田さんから意見を聴くことはできないのです。袴田さんの場合、同条の趣旨を実現するためには裁判官が袴田さん本人と直接会って意見を聴く以外にありません。

 確かに袴田さんはここ3年以上誰からの面会申込みにも応じず、頑なに面会を拒否しています。しかし、1年半前にDNA鑑定のための血液採取が行われた際にはこれに応じています。これは裁判所が拘置所に強く協力を求めた結果です。裁判所がやる気になれば、拘置所も協力せざるを得ません。拘置所が協力しなかったために再審請求の決定を出すことができないことになれば、拘置所(=法務・検察当局)への批判は免れないからです。

 ちなみに、過去松山事件の第2次再審請求で、裁判所が同条規定の本人への意見聴取を行わずに再審請求棄却決定を出したことがありましたが、その棄却決定は違法と判断されて上級審で取り消されました。

 村山裁判長は12月16日の秀子さんと弁護団の意見陳述の場に袴田さん本人も呼び出すか、もしくは東京拘置所に赴いて袴田さんと面会して意見を聴く以外に同条の趣旨を実現できません。いずれにせよ拘置所に対し強く協力を求めざるを得ないのではないでしょうか。

(共同代表・福田)






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Last updated  2013/09/17 04:06:54 AM
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